- あう
- I
あう【会う・逢う・遭う】〔「合う」と同源〕※一※ (動ワ五[ハ四])(1)ある場所で顔を合わせ, 互いに相手を見てそれと認識する。 対面する。 《会・逢》「彼は先輩に~・うため, 自宅を訪問した」「五時半にいつもの喫茶店で~・おう」(2)偶然に出会う。 出くわす。 行きあう。 遭遇する。 《遭》「同級生と駅でばったり~・う」「いやな奴と~・ってしまった」(3)(「…にあう」の形で)好ましくない出来事が身に及ぶ。 遭遇する。 《遭》「盗難に~・う」「交通事故に~・う」「ひどい目に~・う」(4)その場に来合わせる。 そこへやって来る。
「宇津の山に至りて, …修行者~・ひたり/伊勢 9」
(5)相手に向かう。 (ア)面と向かう。 対する。「明らけき鏡に~・へば, 過ぎにしも今行く末の事も見えけり/大鏡(後一条)」(イ)敵に立ち向かう。 戦う。 あらそう。 「香具山と耳梨(ミミナシ)山と~・ひし時/万葉 14」
(6)男女が関係を結ぶ。 結婚する。「この世の人は男は女に~・ふ事をす, 女は男に~・ふことをす/竹取」
‖可能‖ あえる※二※ (動ハ下二)(1)重ね合わせる。「鶺鴒(マナバシラ)尾行き~・へ/古事記(下)」
(2)合わせて一つにする。「みづらの中に~・へ巻かまくも/万葉 4377」
逢うた時に笠(カサ)を脱げ道で知人に出会ったら, 時機を逃さずすぐ笠を脱いで挨拶(アイサツ)せよ。 好機は逃さず利用せよ。逢うは別れの始め〔白居易「和夢遊春詩」の句「合者離之始」から〕逢った人とはいつか必ず別れなければならない。 無常のたとえ。 会者定離(エシヤジヨウリ)。IIあう【合う】〔「会う」と同源〕(1)二つ以上のものが一つに集まる。 まじって一つになる。「いくつもの川が~・って大河となる」「視線が~・う」
(2)二つの物が, すき間なくぴったりと合致する。「足に~・わない靴」
(3)抽象的なことについて, 二つのものが一致する。「意見が~・わない」「彼とは話が~・う」
(4)規準・標準と一致する。「計算が~・う」「答えが~・わない」
(5)二つのものがうまく調和・適合する。 また, その人の好みにかなう。「このネクタイならあの上着によく~・う」「眼鏡の度が~・わない」「好みに~・った音楽」
(6)ついやした費用や労力に見合う。 比喩的にも用いる。 引き合う。「割に~・わない仕事」
(7)道理にかなう。「~・はざる訴訟なりとも, 一度は, などや御免なからん/曾我 3」
(8)動詞の連用形に付いて。 (ア)互いに相手に働きかけながらある動作をする意を表す。「愛し~・う」「話し~・う」「子犬がじゃれ~・う」(イ)別々だったものが一緒になる意を表す。 「喫茶店で落ち~・う」「銅とニッケルが溶け~・った合金」
︱慣用︱ 息が~・馬が~・気が~・口に~・採算が~・算盤(ソロバン)が~・つじつまが~・肌が~・話が~・目が~・割に~/反りが合わない・歯の根が合わない・間尺(マシヤク)に合わない合うたり叶(カナ)うたり「願ったり叶ったり」に同じ。「~と悦びて/浮世草子・懐硯 4」
合うも不思議(フシギ)合わぬも不思議夢や占いは, 現実と合うこともあるし, 合わないこともあるということ。IIIあう【和ふ・韲ふ】⇒ あえるIVあう【敢ふ】(1)よそから加えられる力に対して, その状態のままなんとか持ちこたえる。 こらえる。 堪える。「秋されば置く露霜に~・へずして都の山は色づきぬらむ/万葉 3699」
(2)さしつかえない。 してもよい。「人, 多く見る時なむ透きたる物着るは, 凡俗に思ゆる, ただ今は~・へ侍りなむ/源氏(蜻蛉)」
(3)(動詞の連用形に付いて)(ア)しおおせる。V「人の心は守り~・へぬもの/万葉2657」(イ)すっかり…する。 「高円(タカマト)の萩の下葉はもみち~・へむかも/万葉 4296」
あう【饗ふ】食事でもてなす。 ごちそうする。 饗応(キヨウオウ)する。「使人等に朝に~・へたまふ/日本書紀(推古訓)」
Japanese explanatory dictionaries. 2013.